『馬券偽造師』読了
中山兼治『馬券偽造師』
読みやすさ★★★★★
共感性★☆☆☆☆
おすすめ★★★★☆
この手の本を読むのは初めてで、
“幻冬舎アウトロー文庫”であるとか、犯罪に関する本であるとか、
そういった先入観から少しビビりながら読み始めた。
実際に読み始めてみると、文章が読みやすく、内容もおもしろいのですぐに読み終えた。
一般的に馬券偽造をする人の目的ってきっとお金だと思う。
でもこの筆者は、お金よりも自分の作成した偽造馬券がどこまで通用するか試したかったのだろう。芸術家なのだね。
馬券偽造のために、馬券を水に浸してみたり、色んな競馬場を回ったり、当時手に入りにくかった色鉛筆を入手したり、離婚したり、部屋の湿度や温度を調節したり…
馬券偽造に人生をかけている。アホかと思うけど、作品を作るためなのだから仕方ない。
「でも犯罪者でしょう?」と言ってしまいそうな作品なのに、
芸術家なんだなあ、と思わせるのはきっと筆者がどこまでも一本気だから。
最後まで芸術家としての矜持を持ち続けているから、読んでいて不快な気持ちにならなかったのだと感じた。
ノンフィクションはあまり手に取らないのだけどこれはおもしろかった!