『鴨川食堂おかわり』読了
『鴨川食堂』がとっても良かったので
引き続き『鴨川食堂おかわり』も読んでみた。
すごく良い、幸せおかわり!な気分。
今回も前回に引き続き、基本的な流れは同じ短編6選。
飽きずに読めるのは、そこに一つ一つ人生があるからなんだと思う。
6つの短編の中で一番響いたのは、
第四話 焼飯
依頼主は、モデルさん。
今でこそ華やかな世界にいるけれど
幼い頃は貧しい家に育ち、父親は前科者である。
焼飯は母が作ったもので、学校から帰ると机に布巾を掛けて置いてあった。
母はパートで出かけていて夜遅くならないと帰ってこないので、
一人でレンジでチンして宿題をしながら食べた。
後に資産家である親戚の家に引き取られ、不自由のない生活をした。
引き取られる以前ことは話さないため、周りの人は彼女の過去を知らない。
モデルの仕事の縁で 一流企業の御曹司にプロポーズをされ、
今度手料理を振る舞ってほしいと頼まれたけれど、本当の自分をちゃんと知ってもらうには、あの焼飯を食べてもらうのが一番だと考え食探しの依頼をした。
華やかに見えても人には見せられない弱い部分があるけれど、
このモデルさんはしっかり向き合い受け入れていれていく姿が素敵。
このお話は現代小説らしく、
モデルさんが幸せになったかどうかまでは書かれていない。
でも、絶対幸せになったと思う!なっていてほしい!
颯爽と歩く姿にバッドエンドは似合わないもんね。
鴨川食堂は文章が優しくて、なんでもない部分でも涙がでてしまう。
理由はわからないけど心の柔らかい部分に浸透する。