三千円の使いかた

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原田ひ香 著

 

“人は三千円の使い方で人生が決まるよ” というドキッとするような一文から始まる一冊です。

 

三千円あったら何に使いますか?

三千円の使い方はその人の人生を表すそうです。例えば、なんとなくコンビニやファストフードに何回か行って使い切る、三千円におこづかいなどを追加してほしかった物を買う、またはセミナーなどに参加する…などなど人によって使い方は様々です。

これがその人の人生を表すと言われると大袈裟な気がする反面、思い当たる節があるようにも思えてしまいます。

 

人生、特に女性は独身、結婚、子供が生まれた後、子供が独り立ちした後、老後とステージごとに価値観が大きく変わります。
本書は物語(フィクション)ではあるものの人生の各ステージごとの女性が登場し、女性が人生で通過するであろうポイントと、ぶつかるであろう壁が書かれていて、リアリティがあって参考になります。

 

この彼氏と結婚してもいいのかという問題や、子育て中のお金の問題、同級生との格差が気になるといったような問題、熟年離婚や老後の資金の心配など、身に覚えのある話が次々に登場します。

 

おもしろかったのは、この物語に出てくる男性がことどとくダメ男だということ。初めは男性をあてにせず自分がしっかりしましょうね。という著者からのメッセージなのかと思ったが、巻末の垣谷美雨さんの解説を読み、ダメ男が魅力的に見えてしまうのも女の人生で起こりうる壁なのかもしれないということに気がつきました。

 

途中にでてくる家計簿の歴史が勉強になりました。

あの混乱時期に、家計簿をつけようとした主婦、つまり、それができるだけの教養と意思が主婦があった主婦が戦後日本の復興を支えたのではないかと思うのよ。

という言葉には考えさせられました。国も家庭も女がバカだと滅びるといったような言葉をどこかで聞いたことがあります。賢い主婦たちも戦後の日本の復興に一役買っていたのかもしれません。

 

祖母の琴子が生活力があり、普段は優しく、しかし芯があり肝が座っていて…と魅力的で、こんな風に歳を重ねていきたいと思いました。