『「学力」の経済学』読了

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『「学力」の経済学』
中室牧子 著

 

 

以下はAmazonから抜粋

「データ」に基づき教育を経済学的な手法で分析する教育経済学は、「成功する教育・子育て」についてさまざまな貴重な知見を積み上げてきた。そしてその知見は、「教育評論家」や「子育てに成功した親」が個人の経験から述べる主観的な意見よりも、よっぽど価値がある―むしろ、「知っておかないともったいないこと」ですらあるだろう。
本書は、「ゲームが子どもに与える影響」から「少人数学級の効果」まで、今まで「思い込み」で語られてきた教育の効果を、科学的根拠から解き明かした画期的な一冊である。

 

教育を、教育経済学の視点から科学的根拠と統計情報を用いて紹介している一冊です。

 

中室さんは 『「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法』の著者でもあります。

minimumemo.hateblo.jp

 

印象に残った内容を紹介します。

 
・「テストのよい点を取ればご褒美」と「本を読んだらご褒美」−どちらが効果的?

こちらの問いは、ご褒美はインプットに対して与えるのが効果的であると紹介されています。

「テストの点数」などのアウトプットにご褒美をあげるよりも、「本を読む」、「宿題をする」などの具体的なインプットに対してご褒美をあげる方が、結果的にテストの点数向上につながるとのことです。

この理由は、子供はどうしたら「テストでいい点がとれるのか」の具体的な方法がわからないため、「本を読む」といった具体的な課題の方が結果につながるのだそう。「テストの点数」などのアウトプットにご褒美をあげる場合は、どうすれば成績を上げられるかの方法を教え、導いてくれる人が身近にいることが必要なんだとか。

 

・「頭がいいのね」と「よく頑張ったね」−どちらが効果的?

子育てにおいて、褒め方も難しい問題のひとつだと思います。本書によると、成績が悪かった子の自尊心をむやみに高めるようなことを言うのは逆効果であるとのことです。

子どものもともとの能力(=頭の良さ)をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が下がるということが実験でわかっています。褒める際には、「頭がいいのね」ともともとの能力を褒めるのではなく、「よく頑張ったね」と努力した内容を褒めることが重要なんだそうです。

「頭がいいのね」ともともとの能力を褒められた子は、よい成績が取れたときはその理由を「自分は才能があるからだ」と考える傾向があり、また、よい成績が取れなかったときには、成績についてウソをつく傾向があったそうです。
ですので、褒める時には、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は一時間も勉強できたんだね」のように具体的に達成した内容に対して褒めることが大切なんだそうです。

 

・「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い

親が子どもに「勉強しなさい」と言うのはあまり効果がないそうです。「勉強を見る」、「勉強する時間を決めて守らせる」という親が自分の時間を何らかの形で犠牲にせざる得ないような手間暇のかかる関わりが効果が高いそうです。ただ、最近は共働きなどで思うように時間を割けない場合は、アウトソースするのも有りとのこと。

 

・「友だち」が与える影響

成績優秀者は周囲にも良い影響を与えるが、学力が高い優秀な友人から影響を受けるのは、そのクラスでもともと学力が高かった子供のみである。もともと学力が低かった場合は、自信を喪失させ逆効果になる場合がある。

また、問題行動を起こす子どもが学級にいる場合、学級運営が難しくなり、結果として子どもたちの学力が下がる傾向があることや、飲酒などの行動の影響を受けることがわかっている。

「悪友は貧乏神」という言葉があるが、子供や若者は、飲酒・喫煙・暴力行為・ドラッグ・カンニングなどの反社会的行為について、友人からの影響を受けやすいとのことです。

 

以上が印象に残った内容の要約です。他にも、興味深い内容がたくさん紹介されています。

子育てをするにあたって、効率的に行えることはそうしたいですし、整えられる環境は揃えたいです。そのため、本書で紹介されているような明らかになっている事実は上手に取り入れていきたいと思っています。