『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 』読了

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『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 』
河合雅司 著

 

 

以下の概要はAmazonからの引用です。

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 第1部では「人口減少カレンダー」とし、2017年から2065年頃まで、いったい何が起こるのかを、時系列に沿って、かつ体系的に示した。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として、なるべく具体的に提示した。本書は、これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書となる。

 

今日本が如何に危機的状況にあるかについて、わかりやすく書かれている一冊です。

私は現在妊娠中なので、お腹の子のことを思うと大変な時代に産むことを少々申し訳なく感じるほどです。

少子高齢化に歯止めをかける」というのは政治家などがよく口にする言葉ですが、本書ではまず、少子化と高齢化は分けて考えるべきだと主張している。

確かにその通りで、子どもが増えても高齢者が減るわけではないので確かに「少子化」と「高齢化」は別問題なんですね。

また、市町村など自治体が独自に人口流入を掲げているが、今後の日本は国全体で人口が減っていき、国そのものの存続が危ぶまれている状態です。その状態で、一部自治体の人口の増減に一喜一憂するのはナンセンスであり、国全体の人口減少を見据えた長期的政策が必要であると主張している。

 

表紙に書かれている通り、輸血用血液不足や、火葬場不足といった問題について述べられているが中でも一番印象的だったのは、“東京都民の3人に1人が高齢者に”なるということだった。

 

高齢化は地方ほど深刻、東京は若い世代が集まる場所なので高齢化とは無縁というイメージだった。しかし、今後はそもそも日本全体から若い世代が減っていく。現在東京にいる若い世代がいずれ高齢化し、更に高齢になった若い世代の親が子を頼って東京に住む。そのため東京も高齢化が進むという。
余談ですが、シルバー向けファッションの地になった原宿って想像するとおもしろいですね。

 

こういった日本の危機にどう対処すべきか。本書には「日本を救う処方箋」についても述べられています。「高齢者」の線引きを引き上げる、24時間社会からの脱却、セカンド市民制度など納得のいく提案が並べられています。

 

その一方で、“第3子以降に1000万円給付”というのは個人的には賛成できませんでした。

もちろん、少子化解消には一夫婦あたり3人以上の出産が必要であることは承知しています。しかし、現代は妊娠そのもののハードルが上がっていると感じますので、まず第1子を産むことのハードルを下げる必要があると思います。

前述した通り私は現在妊娠中で、妊娠が如何に自身の心身、経済に負担をかけるかを身をもって感じています。そして、出産後も育児や仕事などによって抱える心身の負担は大きなものであることが予想されます。少子化解消のためには、負担を軽減するための政策が必要なのではないかと思います。“第3子以降に1000万円給付”というのは非常に男性的な意見だと感じました

 

人口減少というとどこか他人事のように感じるかもしれません。しかし、本書を読むと、日本が危機的状況であることがわかります。一個人でできることは少ないかもしれませんが、国民として知っておくべき内容だと思います。