『具体と抽象』読了

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『具体と抽象』読了
細谷功

 

 

先日は『思考・論理・分析』を読んだので、その繋がりで『具体と抽象』を読んでみました。

 

minimumemo.hateblo.jp

 

これはあくまで私の体感ですが、世の中では、「具体的であること」、「わかりやすいこと」の方が好まれているような気がします。世の中の逆をいくように、本書は「抽象化」に焦点を当てて書かれているところがユニークです。

 

“世界が変わって見える知性のしくみ”なんて言われると難しく感じますが、猫の漫画や図が豊富なのでとっつきやすくわかりやすい一冊となっています。

 

どうにも話が噛み合わないとき、伝わらないとき、相手の求める抽象度に合わせて話すことが重要であることがわかりました。こちらは、相手の求める会話のコツであるところの、「頭のチャンネルを合わせる」が近いような気がします。

こう書くと簡単そうに見えて、そんなことも知らなかったのかと言われてしまいそうだけど…。この本を読むまで私は気がつけなかったです。

 

仕事においても、“「上流」と「下流」は世界が違う”というのも目から鱗の発見でした。

 

上流の仕事は個人(さらにいえば、最上流は一人)の作業から始まって、次第に参加者が増えていきます。

上流で重要なのは個人の創造性で、下流で必要なのは、多数の人数が組織的に動くための効率性や秩序であり、そのための組織のマネジメントやチームワークといったものの重要性が相対的にあがっていきます。

 

上流では個性が重要であるため、多数決による意思決定はなじまないという。意思決定は、関わる人数が増えれば増えるほど無難になってしまうからだそうです。

逆に、下流工程では誰でもスムーズに作業を行うことができるよう体系化・標準化が重要になってきます。

 

相手や場面に応じて、臨機応変に抽象度を見極めていくことが重要だと感じる一冊でした。